Windows 2000 のバックアップ/復元

- 2002年2月 -


1.レポートの概要

T21のO/Sを Windows 98 SE から Windows 2000 に変更しいろいろなカスタマイズが完了した段階でこの環境のバックアップ/復元のシミュレーションを行いました。今回はO/S変更に合わせてHDDも換装したので、旧HDDをバックアップHDDとして使うことにします。

元の環境をそのままバックアップしたり新HDDに完全に復元する場合は 市販のソフトを使う方が簡単らしい のですが、今回はバックアップ/復元の動作確認も兼ねて Windows 2000 に標準で付いているバックアップ機能を使ってみることにしましたのでその結果についてレポートします。



2.作業の手順と目的

旧HDDをセカンドHDDとして装着してここにバックアップ・ファイルを保存後、同じHDD上に Windows 2000 をインストールしてその上からバックアップ・ファイルの内容を復元した場合、どの程度元の環境が復元できるか確認することにしました。

作業の手順は以下のとおりです。



@ 元のHDDの内容をバックアップHDDにバックアップ



A バックアップHDDに Windows 2000をインストール



B バックアップHDD自身にバックアップ内容を復元



C 復元後の動作確認



元のHDDがクラッシュして新しいHDDに元の環境を復元することを想定した場合、新HDDに Windows 2000 を再インストールしそこにバックアップ・ファイルの内容を復元することになると思いますので、今回の作業はそのシミュレーションです。



3.作業の詳細と作業上の注意点

上記作業の詳細とその際の失敗談も含めてメモしてみました。


@ 元のHDDの内容をバックアップHDDにバックアップ


旧HDDをセカンダリ側にマウントして再フォーマットし、ここにプライマリ側のHDDの内容をバックアップすることにしました。


<いきなり失敗>

Windows 2000 のバックアップではドライブの内容の他に 「システム状態」 をバックアップすることができるのでバックアップ対象として 「Cドライブ」 と 「システム状態」 を選択し、保存先としてセカンドHDD(Dドライブ)に作っておいた Backupフォルダを選択しました。



ところが、バックアップが終わりに近づいたところで次のようなエラーメッセージが出てバックアップが正常に終了しません。容量32GBのフォーマットしたばかりのHDDなのに何で?



マイクロソフトのFAQで探してみましたがそれらしいものが見つかりません。しかし中途半端にできたバックアップ・ファイルのサイズを見ると4,194,292KB。計算してみたところ、4,194,292KB = 4,096MB = 4GB。実は今回はプライマリ/セカンダリHDDともFAT32でフォーマットしていたのですがバックアップ・ファイルのサイズが上限値に達したようで、思わぬところでFAT32フォーマットにおけるファイルサイズ4GBの壁に遭遇してしまいました。

しかしこのエラーメッセージ、ちょっとまきらわしいと思いますが…。



ということで気を取り直して 「Cドライブ」 を "Documents and Settings" "Program Files" "Others" 「システム状態」 を "System Status" に分けてバックアップすることにしました。

これで問題なくバックアップは終了しセカンドHDDの Backupフォルダに下記のバックアップファイルが保存されました。


A バックアップHDDに Windows 2000をインストール


バックアップHDDをプライマリ側にマウントし直して、ここに Windows 2000 をインストールしました。
一応、使用者やアカウントなどの設定は元のHDD側の設定に合わせました。


バックアップHDDから起動してフォルダ構成を見るとデフォルトの Windows 2000 のフォルダと先に作った Backupフォルダという構成になっています。

仮に、実際に元のHDDがクラッシュして新HDDに換装する際はバックアップHDDからこのBackupフォルダを新HDDにコピーして使うことになると思います。


デバイスマネージャーではいくつかのデバイスに 「?」 や 「!」 が付いていましたが敢えてこのままの状態で復元作業を行いました。

B バックアップHDD自身にバックアップの内容を復元


次は元のHDDよりバックアップした内容をバックアップHDD上に復元してみました。

初めて Windows 2000 のバックアップ/復元機能を使う場合 「ファイルのインポート」 を選びバックアップ・ファイルをインポートする必要があるようです。





次に 「参照」 よりバックアップ・ファイルの保存されているフォルダを指定します。





指定したフォルダが表示されたらバックアップ・ファイルを選択し 「開く」 をクリックします。





「カタログ化するバックアップ・ファイル」 にパスが表示されたらOKをクリックします。





上記の作業はバックアップ・ファイル毎に行う必要があるため、今回はこれを4回行いひとまず全てのバックアップ・ファイルをカタログ化しました。





左側の窓の 「ファイル」 展開し復元する項目を選択します。





復元ウィザード完了後さらに 「詳細設定」 から 「復元する場所」 と 「復元する方法」 を指定することができます。





今回は 「Cドライブ(元のHDD)のバックアップを再度Cドライブ(バックアップHDD)に復元する」 ため、復元先としては 「元の場所」 を選択しました。






復元先に既にファイルが存在する場合にそのままにするか置換えするかを選べますが、今回は 「常にディスク上のファイルを置き換える」 を選びました。





再度復元ウィザード完了の画面に戻るので、ここから 「完了」 → 「開始」 でコピーが始まるのかと思ったら再度バックアップ・ファイル名の確認ダイアログが出てくるので、ここでOKを選ぶとようやく復元が開始されます。





復元終了後に再起動を促されますが、今回は 「復元する項目」 以降の作業を4回繰り返し全てのバックアップ・ファイルについて復元を行い、最後の 「システム状態」 の復元が完了した時点でPCを再起動しました。

C 復元後の動作確認


Windows 2000 を再起動したところ起動時の表示はVGAのままでした。デバイスマネージャーで確認するとイーサネットアダプタにも 「!」 が付いています。しかし最新のドライバーは既にHDD上にあるので、これを使ってドライバーを更新したところディスプレイはSXGA+表示が可能になり、イーサネットアダプタも問題なく使えるようになりました。


エクスプローラで見ると、復元前に存在していたファイル/フォルダは上書きされたもの以外はそのまま残っているようです。例えばバックアップHDDに Windows 2000 をインストール後に最初に Administrator でログオンした際 Documents and Settings の Administratorフォルダ内にできた各種フォルダは、元のHDDでは削除してありましたがこの環境を復元した後も消えずにそのまま残っていました。


一方、レジストリ情報は元のHDDの内容をそのまま復元しており一部編集した部分などもそのまま引き継がれています。

また元のHDDがFAT32フォーマットだったため、セキュリティ関係の情報もそのまま復元されているようでひととおり試した限りではパスワードやアクセス権限なども元の環境から引き継がれているようでした。


今回は使い始めたばかりの Windows 2000 の環境を復元してみただけですが、バックアップ機能を使えば少なくともO/S再インストールの際の面倒な手間はかなり省くことはできそうです。



4.バックアップ方法についての考察

今回はHDDのクラッシュなどを想定し、バックアップしておいた環境を新HDDに復元した場合の動作確認が目的でしたが、実際にはそのような使い方よりもO/Sの動作がおかしくなった際に 「正常に動作していた時の環境を復元する」 といった使い方の方が多いような気がします。

ただ、どの時点の環境まで戻せはいいのかの判断が難しそうです。従って初期設定が終わった時点の環境を一旦バックアップしておいて、その後に色々とカスタマイズした後の環境はこれとは別にバックアップするというのが無難なような気がします。

ということで、今回バックアップした内容は Origial Backupというフォルダに保存し直し、今後のバックアップを Backupフォルダに上書き保存していくことにしました。これで最悪でも一通りの初期設定が完了した状態までは簡単に戻せます。

尚、後日に最新の状態を再度バックアップ/復元した際も元のHDDのディスプレイ・ドライバーとイーサネットドライバーが導入されないという部分は同様だったので、どうやらこれが正常な動作のようです。

追記 をご参照下さい。


又、 My Documents内のデータは頻繁/大量に更新されるしバックアップ・ファイル自体が壊れた場合へたすると元のファイルが全て読み出せなくなるおそれもあるため、@ 手軽に A オリジナルのファイルのままバックアップできる ということで従来より DirSync という同期ソフトを使っており今回もこれを併用しています。

同ソフトは対象外ファイル形式の指定や共有ファイルのスキップなどができ、ジョブの保存や編集も簡単にできるので便利です。例えばプライマリHDDの My DocumentsとバックアップHDDの特定のフォルダを同期させるジョブを作っておけば簡単にこのジョブを実行することができます。更新されているファイルのみを置き換えるので所要時間も短くて済むし、間違って上書きされてもごみ箱に入るので後で戻すこともできます。


HDDコピー関係のツールについては、セカンドHDDアダプタに EZ-GIG というFDDベースのソフトが付属していますが、T21の場合セカンドHDDとレガシーFDDが排他使用となり、又USBFDDからはブートできないようなので使ったことはありませんでした。

しかし考えてみたら会社で使っているThinkPadドックを使えばセカンドHDDとFDDが併用できるという事に気付きました。いつか試してみたいと思います。

もしくはX20で使っているウルトラベースX2でもセカンドHDDとFDDが併用できます。その際X20本体とウルトラベースX2にHDDをマウントしたあと、Windows 2000 が起動しないように注意しながらFDDから EZ-GIG を起動する必要があるので少し荒業になります。またその場合、いずれかのHDDが 9.5mm厚でないとX20の本体側に収まりません。


  
他には IBM Rapid Restore PC というツールで現在の環境をHDD上に圧縮保存し Disk to Diskでリカバリーができるらしいですが、大きな領域を取られてしまうみたいだしフリー版だとセカンドHDDを使ったバックアップ/復元ができないそうなので今回は使いませんでした。

T21はほとんど自宅で使っており Disk to Diskリカバリーのニーズはありませんが、そのうちにX20の方で試してみたいと思います。