ThinkPad 600 のLCD再生

- 2004年7月 -


1.レポートの概要

名古屋の自宅にあるTP600の液晶のバックライトが点灯しなくなりました。「PCの起動直後は点灯するものの、すぐに消えてしまい使えない」 という家内からの連絡を受け、うちの家内でも簡単に元の環境を復元できるようにすべく、知人から譲ってもらった 「同一モデルのTP600 (以下、2号機) に元のHDDを入れて使う」 という方法によって、取敢えず元通り使えるようにはなりました。

ただ、譲ってもらったTP600はパームレストが剥げ剥げ状態とのことなので、日本への一時帰国に際し 「元のTP600 (以下、1号機) のパームレストを移植」 することにしました。同時に、オークションで液晶アセンブリーを安く入手できたので、これを使って 「1号機の液晶の再生」 にチャレンジしてみました。



2.2号機を代替PCとして使うための作業

全くの同一モデル (2645-53J) なので、ハードディスク・ドライブを2号機に移植するだけでOKのはず。

但し、2号機のバッテリーが完全に死んでいるのと、メモリ容量は1号機の方が大きいということもあり以下のデバイスを全部2号機に移植することにしました。
  • バッテリー
  • ハードディスク・ドライブ
  • メモリ
  • CD-ROMドライブ

  • メモリの差し替えを除けば簡単なものばかり。しかしうちの家内に間違いな作業を行ってもらうために、素人でもわかるようなマニュアルを作って送っておきました。 → 作業マニュアルは こちら

    作業は無事に完了し、2号機を代替PCとして元の環境が復活しました。



    3.1号機と2号機のキーボード・アセンブリーをスワップ

    これは上記作業に比べると難しく、うちの家内には無理です。なので、今回の一時帰国の際に作業を行いました。



    ネジの隠しブタを取り外すのが少々面倒なのと、スピーカー・ケーブルを剥がさないように外すのに少々コツが必要なことを除けば比較的簡単です。外すネジの数と種類が多いので、紛失したり後で取り付ける際にネジの種類を間違わないように注意が必要です。 → 作業マニュアルは こちら



    これで2号機は完璧のはず…だったのですが、起動してみると、エラー "161" "192" "163" が表示され、診断プログラムが起動しました。これは 「バックアップ・バッテリー切れ」 の典型的な症状ですが、上記2.の後では普通に起動していたようなので、キーボード・アセンブリー交換がきっかけとなり症状がでるようになったようです。



    取敢えず、1号機のバックアップ・バッテリーを2号機に移植することにより2号機は問題なく起動できるようになりました。但し、1号機の方のバックアップ・バッテリーは別途対応が必要です。



    4.液晶アセンブリーの交換

    オークションで入手した液晶アセンブリーは600E用のものですが、保守マニュアルを見ると液晶パネルの品番が違うだけで構造そのものは同じです。この液晶アセンブリーを1号機に取り付けてみます。

    先ずは、1号機の液晶アセンブリーを取り外します。 → 作業マニュアルは こちら

    ちなみに、故障した液晶アセンブリーとキーボードを仮付けした状態で電源を入れるとこんな感じです。

    うっすらとは見えていますが、ほとんど読み取り不能です。





    次に、交換用の液晶アセンブリーとキーボードを仮付けして電源を入れてみました。


    一応、正常に表示されるようです。バックアップ・バッテリーを2号機に移植してしまったので、起動時にエラー "161" "192" "163" が表示され診断プログラムが起動するものの、液晶自体は問題なく表示できるようです。これでひとまず液晶の再生は完了です。





    5.バックアップ・バッテリーの再生

    バックアップ・バッテリーはIBMの部品センターに注文すればいいのですが、それだと時間がかかってしまうため、電気屋さんでボタン電池 (CR-2025、税込280円) を買ってきて再生してみました。

    元のバックアップ・バッテリー周りのビニールにナイフで切れ目を入れ剥ぎ取ります。コードとコネクターは再利用しますが、コードの先の金属板はボタン電池にかなり強力にハンダ付けされていて取り外すのに苦労しました。結局、ラジオペンチで強引に巻き取るようにして剥ぎ取りました。

    剥ぎ取る際に丸まった金属板をペンチで平らにして、+/−を間違わないようにして新しいボタン電池に貼り付けます。今回は手元にハンダごてがないため、セロテープで貼り付けました。ショートしないよう電池の周りもセロテープでグルグル巻きにしてから、元のバックアップ・バッテリーから剥いだカバーを瞬間接着剤で貼り付けて完成!



    かなりいい加減な方法だった割には、この再生バックアップ・バッテリーを取り付けて起動し、日時設定を行うとその後は問題なく起動するようになりました。



    6.1号機の液晶の故障個所の特定

    本当は、この後で故障した方の液晶の故障個所が特定するため、正常な液晶のインバーター・カードと液晶ケーブルを故障した液晶に取り付け動作確認作業を行う予定だったのですが、液晶アセンブリーの付け外しが思いのほか面倒だったのと、バックアップ・バッテリー再生という予定外の作業が入ったこともあり、すっかり気力が失せました。

    なので、故障した方の液晶は、一度分解してみたもののそのまま組み直し、予備用にしまっておくことにしました。ちなみに、インバーター・カードと液晶ケーブルの取り外し方法は以下のとおりです。

    (1) 液晶のフロントカバーの取り外し → 作業マニュアルは こちら

    (2) インバーター・カードの取り外し → 作業マニュアルは こちら

    (3) 液晶ケーブルの取り外し → 作業マニュアルは こちら

    何だか内容がわかりにくいので、全体の流れを こちら に整理してみました。



    この話の続編は こちら